三条さんって言うんだ……。

聞くところによると三条さんのクラスは私の教室から一番離れてしまっているけど、同じ階だし話す機会が増えたらいいな。


てっきり、その幼さの残る表情や仕草を見ていたら、一年生なのかと思ってしまったけど、可愛いらしい人だなぁと思った。



「三条さん……私が言うのもオカシイですが、借りたい本があるのでしたら図書室に来てください……」


「ありがとう。創立記念祭に向けて、わたしが絵を描くことになってるんだけど……なかなか描けなくて、行き詰まってたの……」



それで絵の画集を借りにきたいのだろうか?



「じゃあ、近いうちに図書室に行くね?」


「はい……待ってますね!」



三条さんはくるりと踵を返すと、まだ少し不気味ちゃんである私に苦く笑って走っていく。


ふんわりとカールされた茶色い髪が、夕焼けに照らされて、儚げに揺れる。

 
まるで、秋の紅葉のように綺麗に見えた。