「……私が、図書室にいるから、きっと怖いんですよね?」


「……っ、」



ようやく女の子の態度に気づいた私は、心底申し訳ない気持ちでいっぱいになる。



「不気味ちゃんって呼ばれてる私が、図書室を出入りしていたから、来れなかったんですよね……ごめんなさい!」


「っ、いいの。わたし、昔から怖がりで……そういう七不思議とか信じちゃうタイプなだけなのっ、」



両手を前に突き出して「怖がってごめんね?」と言う女の子に、私の方こそ噂の本人ですみません……と、なぜか二人で謝る形になること数秒。



「わたし……同じ二年の三条 紅葉(さんじょう くれは)。アナタは、不気……じゃなくて、えぇと……、」


「…………つ、月城 公花ですっ!!」



私の名前を知ってくれようとしている!

私イコール不気味ちゃんと語り継がれて来ただけに、喜びを隠せず一歩前に踏み出せば。



「よ、よろしくね。……つ、月城さん………」


……と。

やっぱり怖がりな三条さんは少しひきつりながらも笑顔でそう言ってくれた。