「椎名くんに、会いたいと思ったから……」
まだ、顔は見れないまま。
ぽつり、と。
私が呟けば、並んだ肩はほんの一瞬ぶつかった。
自分の口から漏れた声に自分で驚けば、鼓動が加速していく音が大きくなって、静寂な図書室に響いてしまうかもしれないとひやひやした。
「……バカじゃないのか。ここに来るくらいなら、梶のところにでも行けばいいだろ」
「……え、」
そんな私のつまらない心配をよそに、椎名くんの思いがけない発言を耳にした私は瞬きを繰り返す羽目になった。
「大体にして、お前は後悔するくらい梶が好きで告白したんだろ……」
「えと、椎名く……」
「だから、お前……来る場所間違えてないか?」
言い終えれば、どちらともなくお互いに身体を向き直っていて、問いかけられた内容に返事をするまで、私は数秒の間を空けてしまうこととなった。



