「私は、出来ればみんなと友達に……、」
パシッ……、と弾かれた手。
痛みを負った手の中から廊下に滑り落ちていくお手製名簿。
恐る恐る目の前にいる春風さんを見ると、可愛らしい顔には不釣り合いな皺を眉の間に刻んでいた。
「……友達?不気味ちゃんのクセになに言ってるの?」
丁寧に巻かれたであろうその髪の先まで、春風さんは激しく怒りを表している。
「ちょっと椎名くんに好きなタイプだって名前を挙げられたくらいで……っ、思い上がらないでよ!陽菜は、アンタなんかと友達になるくらいなら、泥沼の蛙とでも友達になる……っ!」
こうしてはっきりと、言葉を交わしたのは、きっと初めてだったと思う。
「陽菜は椎名くんじゃなきゃ……ダメなんだからっ、」
……けど、私の言葉は簡単には届かなくて。
確かにわかったのは春風さんの椎名くんへの想いは、私が思うよりも、ずっと深いものだったということ。
春風さんの真剣な瞳はそれを私に伝えているから。



