「……あ。読んでくれたんだね?」


「はい!……それで。よかったら今度、お休みの日に一緒に話しませんか………!!」



私、言えた………。

廊下に出て外を眺めている正木さんに声をけると、紅茶色の髪を耳にかけた正木さんの綺麗な瞳が、零れ落ちそうな程、驚きを見せていた。



「嬉しい……。月城さんの方から声をかけてくれるなんて。わたしのせいで、冬休みの予定も台無しにしてしまったもんね……」


「とんでもない……!正木さんは、忙しかったみたいですし……」


「……本当に嬉しいんだけど。わたし、しばらくは勉強以外の時間を割けないの。家庭教師の先生も……毎日、来ることになって」


「っ、毎日?ごめんなさい!私ってばつい……、」


「……いいの。月城さんが謝らないで?わたしすごく嬉しいの。なかなか……その、話が出来る人がいなくて……」



もう一度。

輪郭をなぞるように滑る髪を手で抑えると、憂いに染まる横顔が、たちまち雲りを見せる。