「……っ、」



夜空の下。

静寂に包まれたこの場所には、私と椎名くんの二人だけで。


それは、まるで世界中に私達しか存在していないと錯覚を覚える程に、静かな夜。


月明かりの中、お互いの目と目がしっかりと合う。



「……お前の本当の気持ち、言葉で伝えろよ」



淡く微笑んだ椎名くん。

真っ直ぐな言葉に、私の心は動かされる。


もう一ミリも迷うことのない決心をして頷けば、椎名くんがもう一度ふわりと微笑んだ。



「……告白、頑張れよな」



離された両手の熱と引き換えに、私の瞳に映る椎名くんの微笑みは胸の中に熱を宿す。



「うん……」


「………早く、家ん中入れ」



“おやすみ”……と。

ぼんやり立ち尽くす私に声をおとして踵を返した。


おやすみ、椎名くん……。

見送る背中に呟いて、ゆっくりと見上げた空、濃紺の海の中に瞬く星がキラリと光った。