「逃げる……?」


「梶の顔見て、怖じ気づいて告白出来なかったって言うのなしだからな……?」


「……えと。もしかしたら、緊張すぎて一瞬逃げてしまうかもしれない……っ、」


「は?顔見て伝えるんじゃないのかよ」


「顔を見て……もちろん、そうだけど。でも顔を見るのはかなり緊張してしま……」



逸らした視線。

その直後、夜風に熱を奪われた頬を、椎名くんの両手で包まれた。


ゆっくり距離が縮まれば、私のおでこに自分のおでこをコツンと合わせて、



「……ほら、出来るだろ?」


……と。

目を見開いて驚く私に優しく甘い声で囁いた。