梶先輩に、そんなひどいことを言いたくない。
まだ、頑張ってほしいとさえ伝えてもいないのに。
ましてや、自分自身と向き合って、ようやく一歩踏み出した梶先輩の心を、少しでも私が傷つける真似なんて出来るわけがない。
肩にそっと置かれた優しい手……。
見上げれば、視線が交わって「どうしたの?」と梶先輩はお日様のように温かく見つめ返してくれる。
「私………、」
「うん?」
「梶先輩のこと……」
みんなが一点に私を見つめていた。
その通りに言わなければ、きっと、私のいつもの明日は二度と訪れない。
独りぼっちの私が瞼の裏に焼き付いて消えていく。
「梶先輩のこと……好きなんかじゃ、ないんです。今日の試合……も、応援なんか……っ、していません……もう、話したくないんです……っ、」
紛れもなく、私自身の言葉で、私の意思で………。
ーーーー私は、自分を守るために梶先輩を傷つけた。



