梶先輩がくれた魔法の言葉は私の嘘で固めた仮面を剥がしてくれて、同時に前よりも仲良しグループで過ごす自分を嫌いじゃないと思えた。
カスミちゃんに目配せされても、私は未来ちゃんに応援する言葉をかけず、誰かの悪口にも同調はしないと決心した。
ほんの僅かでも、自分にも周りにも嘘をつくのはもうやめようと奮い起たせることが出来た。
「……それで時々、私が話を合わせてないって伝わると、みんなと妙な空気にもなってしまうんですけど」
「でも月城、前よりずっと明るくなったよな。最近じゃ、泣き顔も見れないし?」
「泣き顔って……。でも、それは梶先輩のおかげです」
「それは違うよ。月城見てたらさ、なに偉そうなこと言ってんだろって思った。俺も、自分から逃げてばっかりだから……」
「……梶先輩が、ですか?」
西に傾く太陽の下……。
いつものように、体育館の脇で肩を並べる梶先輩がぽつりと話してくれた。
「……どうしても、勝てないヤツがいるんだ。隣町の東雲(しののめ)中の背番号7番」



