驚いて顔を上げた先。
私の横に現れたのは、みんなの恋に満ちた視線を独り占めする、エースの梶先輩。
「いつもここにいるだろう?月城」
「え……、私の名前。どうして、梶先輩が知ってるんですか……?」
「俺のこと知ってるんだ?……って言っても、バスケ部だもんな。だから俺も月城のこと知ってるよ?」
「……、」
「なんでいつもここで泣いてるの?」
慌てて涙を拭っても悲鳴をあげそうな心は限界を越えていて、ボロボロと涙が頬を流れていく。
とても穏やかな話し方をする梶先輩と、初めて話した日を今でも覚えている。
「っ、泣いてません……勘違いです……」
「嘘つきだなぁ、月城は。無理してるクセに?」
強情に首を振って否定する私を、心配そうに覗き込むタレ目がちな瞳には見透かされていたと思う。



