冷たい空気の中をキラキラ光るイルミネーションは、まるで別世界に来たみたいに幻想的で、その輝きに思わず溜め息が漏れる。


運よく空いた広場のベンチを見つけて二人で腰かけると、無数の光は私達を正面から照らす。



「近くで見るとこんなに綺麗なんだね……」



あまりに感動的でついつい口を開けば、肩と肩が触れ合う距離で椎名くんがふと目線を向けた。


な、……何言ってるんだろ、私……。

椎名くんの心情は今それどころではないのに。


居たたまれなくなって他に言葉が続かず、浅く呼吸をしては自然と首が下を向く。



「……ああ、綺麗だな。見れてよかったな、月城」


「ーーーー……っ!?」



夜を照らす月のように淡く和らいだ瞳。

膝の上に肘を立てて頬杖をついた椎名くんが、こっちを見ながらそんな風に瞳を和らげてくれるなんて。