ポカン、と口を開けたまま見上げれば、「なんだよその顔」と息を漏らした椎名くんの表情が緩む。


……ふわり、と和らいだ顔。


じんわりと胸に込み上げてくるものがある。

口を閉じることも忘れた私はひたすら椎名くんの顔に釘付けになった。



「……お前って、焦ると早口で喋るよな?しかも、敬語も戻ってるし?」


「へ……?いやっ、あの………」


「ほんと変な女。まあ、そのままでいいけどな」


「えっ、と……?」


「……ほら早く行くぞ?見るんだろ。アレ」


……と。

椎名くんの背後に無数の輝きを放つイルミネーションへと、私達は手を繋いで歩き出した。