ハッーーー!!

力んで言ってしまったせいか荒々しく息を吐き出す私を、道行く人は怪しいものを見る目付きで視線を送っている。


「あの子、きっと初めて見るから興奮しているのよね」なんて哀れみの声まで飛んでくる。


………現に、椎名くんも唖然としているし。



「すみません………私ってば、こんな時に」



ほんと、無神経にも程がある……。

少しでも暗く閉ざされた椎名くんの表情を和らげたくて、それでも私はこんなことしか言えなかった。



「お前って………」

 
「はい……、」



罰が悪い私にはこの沈黙が痛くて俯くしかない。


……けれど。

ぐいっ、と繋がれた手を強く引かれた。