「椎名くんは、どうして優しくしてくれるの……」
ぽつり、と。
こんな騒がしい人混みの中じゃ、私の声は掻き消されてしまいそうだった。
それでも、椎名くんの不器用な優しさが泣きたくなる程嬉しくて、その背中に問いかける。
「……私の、告白の練習相手になってくれているだけなのに、優しくしてくれると、嬉しいって思ってしまう……」
椎名くんが優しいと、私は嬉しいのに、やっぱり少し苦しくなる。
告白が終わると同時に終わりを迎える恋愛ごっこ。
だから、こんなことを思うのはおかしいのに。
「私なんかに、優しくしてくれること……椎名くんが、優しいってことを知ると、また嬉しくて……っ、」
「……、」
椎名くんのことをもっと知りたくなってしまう。



