いつも、どこか遠くを見ている椎名くんの瞳とか、時折自分に言っているように聞こえる悲しい響きも。
それが、私は理由も知らないクセに、どこかで椎名くんが本当は悲しい思いをしているように感じた。
無言で歩く中、時々何度か足を止めてはこちらを振り返って、確認するように私と目を合わせる。
椎名くんの長い足で歩くにしてはゆっくりな歩幅で、私がスピードを上げると、椎名くんの歩く速度は落ちていく。
……その度に、そうやって優しいことを私は知っていく。
前よりもずっと、椎名くんの背中が近くに感じられるはずなのに。
椎名くんは、こんなに近くにいるのに。
でも、どこか遠いよ、椎名くん……。



