………だけど、今日は待ちに待った日だ。



「じゃあ、いってきます!」


「ほ、本当にお友達と映画に行くのよね?その、お友達と……っ!」


「お母さん。と……友達なんて、そんな。思ってるのは私だけかもしれないし……」


「よかったな、公花!!!お父さんは、いつも一人ぼっちのお前を心配していたんだぞ!」



それを言われると何だか申し訳ない気持ちになるんだけどな……。


それに、今にも鼻を垂らしそうなお父さんが、まさか黒魔術の継承者だって言われてるなんて知ったら倒れてしまうかもしれない。


まるで、旅に出る娘を送り出すかのような二人に曖昧な笑顔を見せて、私は快晴の下へ飛び出す勢いで玄関を出た。