アイツは、元キャプテンの梶 貴臣だろ?
“梶を本気にさせたら勝利はないと思え”……と、言い聞かせられていた隼人が躍起になっていたが勝ることの出来ない相手だった。
それは、今もバカな隼人の負けず嫌いに火をつけてるみたいだけど。
それくらい、一応幼馴染みのオレも知っていた。
目で追いかければ、梶は動揺している月城へと近づいて、表情を隠すような癖の強い髪にそっと触れたように見えた。
「っ、」
ほぼ無意識に体育館の中へ足を踏み入れていた。
……そして、オレは知ることになる。
「梶先輩………」
近づく距離に、月城の蚊の鳴くようなか細い声がその名前を口にした。
途端、嫌なモノが心臓の辺りをざわついて、フロアを蹴る足は必然的に速さを増した。



