「梶先輩………」
こんな情けない声じゃ聞こえないって、椎名くんに言われたはずなのに。
けど、目を見張る程に驚いていたのは………
「…………月城?月城だろ?」
私の名前を呼ぶと困ったみたいに笑った。
お日様に照らされたみたいに安心させてくれる眼差しと、少しタレ目がちな瞳は何も変わっていない。
「同じ栄(さかえ)中学の。月城……だよな?本当に同じ高校だったんだ」
躊躇いがちに聞く梶先輩の黒くて少し長い前髪がふわっと揺れる。
隣で私の顔を覗き込んでいることに気づいたから、小さく頷くのが精一杯だった。
メニュー