「椎名くん………!」 ガラッと扉を開けて図書室の中へ足を踏み入れれば、冬の空を染める夕陽に照らされた椎名くんが窓辺に立っていた。 振り返った椎名くんのどこか遠くを見つめているブラウン瞳は、夢から覚めたようにハッとして私を映す。 「……だから、確認しろって言ったんだけど?」 「……あっ。私また。そうだった、ね」 前にも後ろ姿で決めつけて、もし自分じゃなかったらどうするんだって、言われていたっけ……。 私は、ぼんやりと思い出し、息を整えながら貸し出しカウンターに鞄を置いた。