「正木さんに嫌な思いをさせてしまうって思ったので……私、」
「ハァッ……。敬語やめろって何回言わせるんだよ?それに、お前な」
……と、椎名くんは、珍しく周りの自分へ集まる視線と黄色い歓声を気にしたあと、再び私へ視線を戻す。
「そのままでいいのか?」
「へっ?」
「……だから、」
訳のわからない顔で見上げれば舌を打って眉根を寄せた。
そして、気だるげにポケットに手を入れたまま、少し屈んだ椎名くんはーーー。
「“汚名返上”はどうしたんだよ?」
……と、私の耳元に唇を寄せて囁いた。
思わずドキッとした私は、もう、呼吸すらも忘れてしまって……。



