「なんだよ?」
「……え。いや、なっ、何って……こないだ……椎名くんのことが好きだって言……」
「だから、それが何?」
「……っ、」
刺すような声に、綺麗な女の子が俯けば、しっかりと巻かれたくるくるの髪が哀しげに揺れる。
あれは、確かーーー。
私は、窓辺にいることに気づかれないよう鞄の中から黒いノートを取り出した。
いつか、話せる日がくることを夢に見ている私がお手製で作った、似顔絵つきの学年名簿……。
ペラペラめくってその名前を見つけた。
うぅんと、ふむふむ……間違いない。
女の子は隣のクラスの春風 陽菜(はるかぜ ひな)さんだ。



