「あいつはそそっかしいね」


「ふふっ。それが美鈴ちゃん、でしょ?」


「まぁね」


目が合う。


…よかった。


目が合っても普通にしていられる。


あの動悸は多分疲れからきてたんだね!


事故にあって記憶を失って。


いろいろとあったわけだし!


「そういえば、星南は紅蝶って知ってる?」


「こう…ちょう…っ?」


━━どくんっ。


「そう!紅い蝶で紅蝶!紅蝶はね、伝説の族なんだ」


伝説の族…。


紅い蝶…。


『せーなっ!』


━━ずきんっ!!


「っ!」


頭が…痛いっ。


「紅蝶にはね、紅葉-モミジ-と呼ばれる総長の影がいるんだ」


この頭痛には覚えがあるっ。


いつも記憶の映像が頭に流れるときのもの…っ。


痛いっ…。


だけどこの頭痛を治める方法を私は知らないっ。