「ありがとうっ。俺さ、星南の手作りのご飯食べるの初めてで嬉しいよっ」


「重いのにここまで持ってきてくれてありがとうございます。みんなで食べましょう?」


「そうっす!海!海見て食べるのがいいっす!」


みんな…。


「な?みんな喜んでるでしょ?」


「うんっ!ありがとう!」


さっきまでの不安はどこかへと吹き飛んでしまった。


高松くんのおかげだ…。


あ、そうだ。


料理といったら…。


「高松くん」


さっき思い出したことを伝えようと、海へと歩き出していた高松くんに声を掛ける。


「ん?」


「さっき思い出したんだけど、私って料理が得意みたい」


「料理が?」


高松くんの問いかけにコクンと頷く。


「私、自分の分と後…誰かの分のお弁当を作ってた」


顔は思い出せないし、はっきりと思い出したわけじゃない。


だけど、〝私〟は料理が得意で、いつも笑顔でお弁当を作っていた。


それを〝 〟はすごく嬉しそうに笑っていたんだ。


━━ずきっ。


頭が痛いっ。


ここまで出てくるのに…なんでっ?