memory〜紅い蝶と私の記憶〜

「昶、俺たちも外にいるぞ」


「待って。お兄ちゃんたちも一緒に聞いて」


「俺たちはいいが…」


ちらりと昶を見る。


昶には公開処刑みたいで申し訳ないけど、私はみんなにも聞いてほしいんだ。


「せいさんたちもいて下さい。それが星南が姫としての最後の願いだと思うので」


私がmoonを抜けるって気づいてたのか。


驚くお兄ちゃんたちとはまた別の驚きだよ。


「…うん。お願い、みんな」


「…わかった」


「ええ、一緒に聞きます」


「了解っす!」


よかった…。


私だけでは断られると思ってたから。


昶のおかげだ。


「お兄ちゃん、私は今日をもってmoonを抜けるね」


「なんでまた…。紅炎の件を気にしてるなら別に気にしなくていいんだぜ?」


「それもあるけど、これは私なりのケジメだよ。それに紅炎がもしmoonの姫と同一人物とバレた時、1番に被害を受けるのはmoonだから」


紅蝶も何かしら被害は受けるだろう。