「あ、嘘って思ってるだろ」


思ってます。


「まぁ、いいや。ここはmoonって名前で、いわゆる暴走族ってやつ」


「ぼう…そう…ぞく…?」


暴走族ってあのケンカしたり、バイクで暴走したりする?


普通とは違うとは思ってたけど…暴走族だったなんてっ!!


でも…なんでかな。


暴走族って聞いたら普通は怖いはずなのに…すごく懐かしく感じるんだ。


バイクにあのカラフルな色の頭。


〝星南!ほら、みんなが待ってるぞ!〟


「っ?!」


突然頭に響いた声。


…ここにいる人たちの声ではなかった。


だけど…やっぱり懐かしくて。


でもどこか悲しくなる。


そう思わせてしまうあの声の主は…一体私のなんだろうか。


「星南?」


「…あ、ごめん。ちょっとボーッとしてた」


「疲れてるのにごめんな?」


「大丈夫だよ。お兄ちゃんの思ってるほど疲れてはないから」


意外と元気だったりするよ?


「「お兄ちゃん?」」


あ、ハモった。


しかも目見開いてる。


そんなに驚くことかな??