「さぁ、君には役に立ってもらうよ」


「いっ…」


両手首を上へと無理矢理上げられ、立たされる。


いたい…っ。


みんなぁ…っ、お兄ちゃん…っ。


堂々と立っているのに、誰一人と気づかない。


それほど真剣に、集中して戦っている。


「くくっ。さぁ、どんな顔をするかな?」


男は1階で何知らずに戦っているmoonを見て、さらに口の端を上げた。


「moon!!上を見ろ!!」


「っ…星南!」


いち早く気づいたのは高松くんだった。


その声に、moonのみんながこちらを向く。


「てめぇ…!星南に手ぇ出してみろ!!その顔ぶっ飛ばすからな!!」


「お兄ちゃんっ!」


「…へぇ〜。君、赤澤の妹なんだ。これは好都合だ」


「いっ!!」


「星南!!てめぇっ!!」


強く握られた手首が痛いっ。


だけどそれ以上に、みんなの焦った顔、苦しそうな顔に胸が痛くなる。


こんな顔をさせているのは私が原因なんだっ。


みんなには笑っていてほしいのに…。