自分の物理的な死より、受け入れ難いことだった。




「いえ。僕が葵を救える方法はこれしかないので、続けます。もし、途中で葵が誰かの手によって救われたのなら、そこでやめるつもりですから…」






死んでいるからこの例えはおかしいのは重々承知しているが、僕の声には一切正気がなかった。



今の葵と同じかもしれない。




そう考えると、少しだけ笑ってしまった。




面白くて笑ったのではない。




情けなくて笑ってしまったんだ。




何となくしか人生を歩んでこなかった僕にはこんな選択しか出来ないことへの情けなさだった。




「分かりました。今はまだ止めません。毎回誰の記憶がなくなってしまったのか、知りたくなければ、教えませんので、知りたい時だけ不動産に寄ってください」