「後悔は…多分あります…」




「だったらその後悔をひとつひとつ消していったらいいんじゃない?そこで大切な人の記憶が消えてしまったら、またその時に考えたらいい。私たちは死んでしまっているの。何か出来るわけじゃない。前世に後悔したっていいけど、今に後悔する必要がないの」




妙に納得した。




きっともう、考えることにうんざりしていたのだと思う。





本当は初めから、生界に行きたくて仕方なかったのだ。



ただ、これまで自分で選択してきたことがなく、他人に責任を押し付けてきた僕には背中を押してくれる人が必要だったのだ。





「ありがとうございます。なんとなく、決めました」




「そ。じゃあ、楽しんでね」





言って彼女は門の方へ歩き出した。





僕も、少しだけ胸を張れた。