久々に訪れた天国の不動産には、見知らぬ女の人が中で話をしていた。




また、誰か死んでしまったのだろうか。




痛む胸に気付きもせず、その人が出るのを待った。





30代手前といったところだろうか。





自分に死んだ感覚がないため、不動産から出てくる女の人の享年の短さに勝手に気の毒に思ってみたりもした。





これまで天国にきて話をしたのは2人。




この人ともこれからどうするか、答えの出ない相談をするんだと思っていた。





しかし、その女性は僕に見向きもせずに門の方へ一直線に歩き出した。





不動産から出てきて、なんの迷いもなく生界へ向かう彼女を、僕は思わず呼び止めてしまった。





「あ、あの!」