「人間でも、動物でも、昆虫でも、植物でも。思い浮かばなければ曖昧な希望でも大丈夫です。ずっとだらだら寝ていたいとかであれば、動物園のナマケモノ、パンダ、コアラ等をおすすめします。優雅に気まぐれに生きたいのであれば、飼い猫もおすすめです」





カタログをペラペラ捲りながら、山下は言う。





正直、まだ生まれ変わりどころではない。




葵から僕の記憶が消えたこと、受け入れることができたと言えば嘘になる。




僕の記憶が消えて、その後の葵の様子も気になる。





だけど、自分が望んでやったことに、また今更ぐだぐだ言えない。




流石の山下の無表情も呆れ顔に変わるだろう。





死んで4年と9日経っているのだ。




四十九日どころではない。





僕は唾を飲むのと同時に、過去の自分、生きていた時の後悔、死んでからの後悔、この4年間、全てを飲み込んだ。