そうだ。
皆に挨拶しないとって思ってきたんだった。
目的、忘れるところだったよ。


「陽希、皆に会いたいんですけど?」

「何かようですか?」

「ようっていうか、挨拶しようかなって」

「そんな事・・・」

「よくないですよ?莉月の傍にいる人は見ておきたいんです」


私がそういうと、陽希は喜んでいて私を案内してくれた。

人が見えてくるに連れ、見たことのある人たちもいた。
その中には、いつかの糞女に怪我をおわされた人もいた。

私が近寄っていくと気づいてくれ、
あの時とは違う、優しい笑顔を見せてくれた。


「傷、消えたみたいでよかったです」

「へい、心配かけてすみません」

「心配だなんて、莉月を守ってくれてるんですから、私が皆さんの手当てをするのも
当然ですよ?」


そんなことを言った私に驚いたのか、
まだ警戒していた人たちは
目を見開き呆然としていた。


「今までの女はそんなの当たり前じゃなかったんだよ?」


後ろから現れたのはまだ眠そうな拓哉で
欠伸をしながら言った。


あまり莉月の昔の女の話は好きではない。
それに、どんな女だろうが、
莉月を傷つけたことに何の代わりもない。
そう思うと、怒りで自分が保てない・・・


「ご、ごめんね?昔の女の話は嫌だった?」