「助けがくるまで、ここで生活をするしかないのかもしれない」


トシが答える。


「それって、いつ?」


郁美が聞く。


「食料もあるし、この建物がオープンの前ならオーナーが来るはずだ」


トシが冷静に答える。


「だから、それはいつなんだって聞いてんだろ!!」


ガンッ!と椅子を蹴とばして弘明が怒鳴った。


その声に健以外のみんなが一瞬身を縮めた。


「わかるわけないだろ」


健が弘明の肩を掴み、そう言った。


「あぁ!?」


「みんな同じように知らない間にここにいたんだ。怒鳴っても意味がない事くらいわかるだろ」


健にそう言われ、弘明はあからさまに顔をしかめた。


険悪なムードが部屋の中にたちこめる。


さっきまで同じ話題で盛り上がっていたのが嘘のようだ。


「弘明、やめなよ」


伶香が弘明の手を握ると、弘明は健の手を払いのけて椅子に座り直した。