文化祭の準備が始まって、なかなか芝生へ行けなくなっていた。
「今日は準備はなしだー。明日英語の少テストだから、しっかり勉強するよーに!」
やった!久しぶりに芝生に行ける!!
私はHRが終わると一番乗りで学校を出ていた。
「ん〜ふふふ〜ふふふ♪」
「歌好きなんだ?」
頭の上からそんな声が聞こえてきた。
慌てて振り向くと男の子が立っていた。
「な、なに?」
こういう状況は何度経験しても慣れない。
「だから、歌うまいねって」
「ど、どうも……」
よく見ると同じ高校の制服を着ていた。
明るめのブラウン色の髪を無造作に整えてある髪。
耳にはピアスが輝いていた。
見るからに、
……苦手なタイプ。
どんどん顔が強ばっていくのがわかる。
その男が私の隣に寝そべると同時に私は距離を取る。
「なんで離れんの?」
男は不思議そうに見つめながら、距離を詰めてくる。
耐えられなくなった私は「近づかないでッ!!」
それだけ言ってその場を走って後にした。