涙花が咲く頃に



ーーカンカンカンカンカーーンっ!!



土曜日のお昼前こんな音が家中に響き渡った。



「っわ!何事?!」


この爆音で夢から現実に戻された私は目を擦りながらリビングに入る。



するとそこにはにっこり笑顔のブラウン男がいた。



嫌な予感しかしない……。



「なに?」




「不機嫌?」



「あのさー誰のせいだと思ってんの?」



「さぁ?誰でしょう?」




はぁ……この男は何を言っても無駄だ。




「もーいいからさ、そこどいてくんない?」


「やーだねー」



「てか、ちょっと待ってな」




そう言ってブラウン男は、冷蔵庫から何かを取り出してそれを後ろに隠してこちらに近づいてくる。



「ジャッジャジャーーン!!」




そう出てきたのは、大玉のメロンだった。




「メロン……?」




「そっ!メロン!今からメロン割りしまーす!」




ブラウン男はクラッカーでも出てきそうなくらいのハイテンション。


それに比べて私は目の前のことを飲み込めずにめちゃくちゃテンション低い……。


二人の間にはすごい温度差が……。


「乃愛、スイカ嫌いってノートに書いてあったからさ。やっぱ夏はスイカ割りするまで終わんねぇからな。結構悩んだんだからな」




「あたし頼んでないけど」




「そんな事言わずにやろーぜ!メロンだからうまく割れるか心配だけど」



「メロン割りって……聞いたことないけど」



「うん。だから俺が発明した!」




「はぁ」



「メロンとスイカって、似てるじゃん?かたがな三文字だし」




バカなの?っていおうと思ったけど、そういうわけでもないから言葉を飲み込んだ。


だって、この前張り出されたテスト10番以内にこの男の名前があったから。




しかも、3位。



家では勉強してる姿なんて見たこと一回もないし、暇さえあればキッチンにいるし。




それに比べて私は一生懸命勉強しても全然成績伸びていかないし…




やっぱり世の中不公平だなーって思う。






「もう、準備は揃ってるから!」





指さす庭に視線を向けると、それはご丁寧にビニールシートが引いてあってそこには手ぬぐいも、金属のバットもあった。





じゅ、準備がいい……





「やりたく…」



「やりたくないなんてなしだかんな?これ俺の給料1日分だったんだよ。絶対楽しいから!それは保証するから」




やりたくない……そんな私の気持ちは読み取られるし。



お願いっ!と手を合わせるブラウン男。




「それは、果肉はオレンジ?」


「あ!まさか乃愛もオレンジ派?俺もオレンジはなんだよね」


「じゃあやる」



果肉がオレンジだろうが緑だろうが別にどっちでも良かった。



ただ、なんか、理由をつけないと……



ーーだっただけ。