「椛丘高校まで」


「了解」



タクシーのおじさんはすごくフレンドリーで話しかけてきた。


「文化祭の準備?」


「はい」



高校へ着くと運転手さんが学校の昇降口までジュースを運ぶのを手伝ってくれた。


「「ありがとうございました!」」



「どういしまして。文化祭楽しんでね」





「これを、教室まで運ぶんだよね……」




2年生のクラスは二階にある。



「2人で運べばなんとかなるっしょ」



そう言ってブラウン男は軽々とジュースの入ったダンボールを持ち上げた。



私も、その後に続いてゆっくり運び始めた。




「はぁ〜やっと着いたぁ……」



「疲れすぎだろ。よし、これで終わったな」




ダンボールを教室の後ろに置くと私の椅子に腰掛けた。



「なんで私の席知ってんの?」


「俺ら一緒に暮らしてんだよ?それくらい知ってる」





いやいや、知らないでしょ普通!


てことは……


「ストーカー」



「ではないな」




「今度からストーカーって呼ぶから」




「それは、勘弁してって!」




だらだらと話をさてたら、辺りは少しずつ暗くなり始めてきた。




「そろそろ帰るか!たまには歩いて帰ろーっと」





そう言ってるブラウン男を私は置いて教室を出た。



「ダーリンを置いてくなよ」



「はぁ……」


「ため息もひどくねっ?!」




学校を出て、二人で歩く。



二人の間の距離はたからみたら、どうみても他人だ。