屋上を出てから、授業に出ようとしたけどリボンもないしどうせ家に帰らされるんだしと思って学校を初めてサボった。
授業をサボり、向かったのはやっぱり芝生だった。
「やっぱりここにいた」
その声に振り向くと顔も見たくなかった男がたっていた。
「なに?」
「あんたもサボり?」
「もう授業終わったけど」
男はスマホを取り出し私に見せる。画面を見ると15:00の文字。
あたしこんな時間までぼーっとしていたんだ。
「リボンはもういいの?」
「買うからいいって。捨てるなり、着けるなりご勝手に」
「ははっ。着けるなりって!お前おもしれーこというのな」
「じゃあ、ばらしちゃおうかな?人間嫌いなこと」
別に大して大きい声でなかった。
でも、私にはこの世で一番怖いと思った。
「な、なんか恨みでもあんの?」
「人ってさ、いいもんだよ?」
「どこが?自分のことが一番大切で自分勝手で、あたし人が嫌いなのっ!」
「お前だって人だろ?」
「関係ない」
「ばらされてもいいなら、帰れば?」
「ていうか俺ー顔広いんだよなーしかも信頼されまくってんだよなー」
独り言のように空を見ていう彼。
私はバックを乱暴に取り、芝生を登った。
「か、勝手にばらせば?」
寝そべる彼にそれだけを告げた。
「ふーん。じゃあ明日お楽しみに〜」
返事はせず、歩き始めた。
歩きだして、5分。
私は足を止めた……いや、勝手に止まった。
ちょ、ちょっと待ってよ。
明日お楽しみにって、あたしが人間嫌いなことがバレてるってこと?!
まさか、そんなこと……
できるわけないよね?
これは私が必死になって守ってきたもの。
人が嫌いなんて知られたら、どうなるんだろう。
今まで目立たないように生きていたのに。
日陰だけを歩いてきたのに。
こ、困る!!!
気づいたら私は来た道を戻っていた。
さっきの男はまだその場所に寝そべっていた。
「困る!」
私の大きな声に驚いたのか飛び上がりながら私を見る。
「え?」
「ばらされたら困る!」
「じゃあ、俺と住んでよ。料理も俺作るし、なんにも気にしなくていいから。1人より2人の方が楽しいでしょ」
「なんで私が」
「ばらすよ?」
「…………」
「ずっとじゃないって言ってるだろ半年間。半年経ったら自分家に戻る。」
どうせ、戻るなら最初からすまなければいいでしょ!なんていおうと思ったけど、ごくんと息を飲んだ。
ばらされたら困るし、だかと言ってこんな奴と住むのも嫌だし私はどうすればいいんだろうか。
一生答えのでなそうな二択を。
誰か、教えてーー。
私のポカーンしてるもんだから彼はこう付け足した。
「わかった。1日だけ時間やる。ばらされるのがいいか、オレと暮らすのがいいのか。明日の放課後屋上で待ってる。そこでどっちがいいのか聞かせて。来なかったらばらすから」
それだけをいい、彼は私の横を通り過ぎた。
「あと、これ。もう落とすなよ」
頭の上にリボンを、乗っけて彼は走っていった。
私はというものの、目の前の現状を飲み込めずにただただぼーっとしていた。

