無言で車を走らせる先生。 言わなければよかったと少し後悔した。 「あ、先生。わたしの家そこ右です」 曲がり角を指差し、教えると、先生は指示器を逆方向に出した。 「左じゃ逆方向…」 「返事、俺の家でするから。それまでに考えるから」 考えてくれるんだ。 だめだってすぐ言わないんだ。 それだけでもう十分です。先生。