廊下を歩く間ずっと無言で、何の会話もしない。



だけど、なぜか不思議と心地いい。



ゴーン…ゴーン…ゴーン…。



校内に深い鐘の音が鳴り響く。



「あ!」



その音を聞いて足を止めた。



もしかしたら…今ならあの人がいるかもしれない。



あのおじいさんに会えるかも!



「ごめん、工藤君、先行ってて!ちょっと用ができちゃった!」



「お、おう…ついていこうか?」



さっきまで沈んでたはずなのに、急にハイテンションでこられて工藤君も対応しかねてる。



「ううん!1人で大丈夫!っていうか、1人の方が都合がいいの!」



なんとなく、おじいさんと2人で話したい。



「了解、じゃあ先行ってるな」



「うん!」