その目は鋭くて。
軽蔑。
蔑み。
疑い。
怒り。
たくさんの感情が見える目線。
でも、どこか"戸惑い"もある。
きっと春輝たちと一緒にいるからだろう。
「みんな聞いてー!」
その一言で、私に向けられていた視線は春輝に集まった。
「翠嵐に姫ができたよー!」
なにこの軽い総長。
こんなんで大丈夫なの?
もうちょっとさ、俺様とか、怖い感じとかじゃないんだね。
「夢羽。挨拶して。ちょっとでいいから。」
私は無言でコクッと頷いた。
1歩前に出る。
さっきまで春輝に集まっていたはずの視線はすべて、私に集まっていて。
怖い。
怖くて下がりそうになる目線をなんとか前に向けて。
震える手を握りしめる。
大丈夫。
大丈夫。
私は強い。
強いんだ。
なにも怖くなんかない。
何度も言い聞かせる。
私が言わなければならない事は二つだけ。
桜嵐の元姫で、噂は嘘だということと、姫にして欲しいっていうこと。
たったそれだけ。
1度深呼吸をしてから口を開いた。


