3週間前。
総長の亮平が一人の女の子を倉庫に連れてきた。
それが、現姫の夏目明希-Nathume Aki-。
ここは桜嵐の溜まり場の倉庫。
どうしてこの子が入れるんだろう?
この倉庫には桜嵐の人しか入れないのに。
「今日転校してきた夏目明希。気に入ったから連れてきた。」
"気に入った"
亮平から発せられたその言葉。
私は密かに亮平が好きだった。
ずっと亮平を見ていた。
だから分かってしまったんだ。
亮平は彼女が好きなんだって。
悲しくて。苦しくて。辛くて。
けれど、こんなこと言えない。
居場所がなくなってしまうかもしれない。
唯一の居場所が。
「えっと・・・、今日A組に転校してきた夏目明希です・・・!」
「私は桜嵐の姫、川崎夢羽だよ!よろしくね、明希ちゃん!」
「あ・・・うん!!よろしくね、夢羽ちゃん」
・・・かわいい。少しウェーブがかった茶色の腰まである髪。
ぱっちりとした大きな二重の目。
ぷっくりとした、形の綺麗な桜色の唇。
透き通るように白くて、細いからだ。
私には適わない。
話し方も可愛くて、なにもかもが正反対。
きっとモテるんだろうなぁ〜と思った。


