中学の時につけていた防犯ブザーを鳴らして、隣の部屋のベランダに投げ入れた。


そして、部屋に戻って壁を思い切り叩く。


確か、隣の家は五人家族。


だから、たぶん誰かしらいるはず。


「っ助けてください!!!」


私は声を張り上げた。


「お願いしますっ!!助けて・・・!!」


お願い。


助けてっ・・・。


「・・・どうしたんですか!?」


壁の向こうから聞こえた声に、これで助かったと思った。


「っ父に、虐待されてるんです!!監禁されてて、外から鍵をかけられているんです!」


私は、自分が出せる1番大きな声で、そう答えた。


「っ警察に連絡するので、少し待っててください!」


そして足音が遠ざかる。


「たす、かった・・・」


–––––ガチャ


「っ!?」


リビングのドアが開いた。


なんで、どうして。


なんで帰ってくるの・・・?


お父さん。


「・・・お前、なにしてる?」


ビクッと肩が揺れる。


「縄を解いたのか・・・!お前は黙って殴られてればいいんだ!」


そう言って、思い切り殴られた。


「っい、た」


「なんだ!?お前の分際で痛いなんて言うな!お前なんか生きてる価値もないんだ!」


そう、なの・・・?


私は、生きてる価値もない・・・?


それじゃあ私は、死んだ方がいい?


ねぇ、もう嫌だよ。


こんな痛い思いしたくない。


それならいっそのこと死んでしまいたい。


辛いよ。


痛いよ。


苦しいよ。


助けて、欲しいよ・・・。


殴られて、蹴られて。


何分経ったのかわからない。


だんだんと意識が薄れてきて。


このまま死ぬのかも、そう思った時だった。


–––––バンッ


「警察だ!!」


突然開いたドアと入ってきた人たち。


すぐにお父さんは取り押さえられて。


私の元に人が来て、声をかけてくれる。


でももうそれに答えられるような状況じゃなくて。


私は意識を手放した。