もう少し、ちゃんと自分の気持ちに素直に
なっていれば、変われたかな。

なんて。

「俺のこと、ちゃんと見てよ!!
―――――――――――――――――――母さん!!」

『あんた』なんて反抗のかたまりだった。

どうしても、自分を見てくれないカタチだけの
親子から、母親として見れなかった。

そうやって目を背けてきたのは自分で。
避けていたのは俺で、いつの間にか母も
そうなっていた。


結局、俺が全部作っていた。

だから今度こそは、ちゃんと本心で言うよ。
全部、俺の大事な幼馴染から教えてもらった。


いつか、と延ばしていた俺を変えてくれた
彼女は。

俺が全身全霊をかけて愛した人。
否、愛している人。

やっと、母さんと言えた。
それが俺にとって、進歩だ。

母の方を見ると、顔は涙でぬらしていた。
その豹変ぶりに戸惑ったが、なおも
じっと見つめ返す。


「ごめんね・・・・」

そうポツリとつぶやいていた。
やっと届いた。