これから自分は、ワタリにその対価を払う。

 その前提があってのこの空間。

 涙を流したいほどの激情、自分を抑えられない怒り。

 それでも彼女の前では吐き出せぬ苦痛。

 全てを受け入れ、晒し、責め、それを全てこなす彼の器用さを心で褒めた。

 わかっている、ずるいんだ。

 責めて欲しい、甘やかしてほしい。

 存分に攻め、存分に甘やかし、どうしようもなくしてほしい。

 全てを壊してしまいたい。

 それでも、何も変えず何も終わらせたくない。

 ゆえに、ここへ来た。

 共犯者は笑う。

 虫唾が走る指先で触れてくる。