「…ちがう…これはミヤマの呪い」

 「名前を聞くのもいやよ、それが呪いならこの首の傷の呪いでいい。切れないならいらない。私のものにならないならいらない」

 「切ってる、だけどきれない。だから呪いなの」

 「違う!私のことを本気で思うならその呪いを切ってよ。私だけを見て、私だけを愛して、私だけを想ってよ。ベニハシの一番は私、なんでしょう!?」

 かきむしられた首筋から血が伝うのを感じた。

 俯いたベニハシは多分、髪を切れない。

 これだけ言っても、呪いと本人が思う限りそれは呪いなのだから。

 切ったところで断ち切れない呪いなら、切ろうが切らまいが同じこと。

 結局ただの嫉妬であり、ただ一人暴走し裏切ったという結果だけが残る。