ひりあま―ジンジャーティーに、失恋を溶かしたら―



あの、と、ハジメさんが話を振ってきた。


「何ですか?」

「今、カイトさんと同じ演劇チームに?」


カイトさん。その名前を出されると、まだズキッと来る。

年が離れてるけど、好きだった。

声も演技も、優しい人柄と笑顔も。


あたしは、癖になってる薄っぺらいスマイルで答えた。


「そうなんですよ!

話、聞いてたりします?

病院での慰問のための朗読劇。

カイトさん、主演なんですよね。

あたしはチョイ役で。

だって高3なんです、今。

進学先は決まってるんですけど、何だかんだで、けっこう課題が多いから忙しくて」


口を開けば、意味もなくハイテンション。

へらへらしてるのは、いつものこと。