ひりあま―ジンジャーティーに、失恋を溶かしたら―



「愚痴、ですか?」


ハジメさんは小首をかしげた。

静かな手つきで飲み物を作りながら。


「愚痴です。

あたしって、かなりバカなんですよ。

他人のために全力で苦労しに行くんです。

今回、見ててわかったでしょ?

だってね、そうするほうが、ハッピーになる人が多いから。

自分がハッピーじゃないとしても」


いい子ぶるつもりはない。

臆病なだけ。

自分だけハッピーになっちゃったら怖い。

まわりに何て思われるか、わからなくて。


他人を押しのけて得たハッピーって、たぶん、ゲットした瞬間はすさまじく嬉しい。

でも、きっと長続きしない。

急上昇したぶん、急降下する。