「あのですね、ハジメさん」
「はい?」
「お客さんを前にして、逃げ腰じゃダメでしょう!?」
「……はい」
「長らくカフェで働いてたんじゃないですっけ?」
「おれは、キッチン担当ばっかりで……」
「言い訳しない!」
「……はい……」
ハジメさんって、10歳くらい上のはずだ。
カフェの店主で、声優でもある。
美声のイケメン、料理の腕もいい。
という、こんなステキなはずの人を相手に、あたしは何でお説教してるわけ?
「ああぁぁ、もぉぉっ」
「ご、ごめん。バイト代、出させてください。あと、何か食事つくらせてください」
ああ、はい、そのへんはありがたくいただきますけどー。



