ひりあま―ジンジャーティーに、失恋を溶かしたら―



ランチのお客さんの波が、どーっと押し寄せて、あたふたしてるのを笑顔でごまかしつつ働いて、注文を繰り返すうちにメニューも覚えて。


ついこの間の舞台で、店員役やったんだよね。

居酒屋だけど。

おかげで、接客のシミュレーションができてたというか。


「意外と、どうにかなるもんですねー」


お客さんの波が引いてから、ハジメさんに笑ってみせた。

すでに時刻は14時過ぎ。

カウンター席に座り込んだら、おなかが鳴った。


「助かった、本当に。ありがとう。おれひとりじゃどうしようもなかった」


それ、異議あり。

あたしは背筋を伸ばした。