ひりあま―ジンジャーティーに、失恋を溶かしたら―



「いらっしゃいませー♪ 店内にどうぞ」


マダムたちを、窓際のお席までエスコートする。

ついでに、窓越しに目が合ったお客さん候補に、ニコッとしておく。


「3名さまでーす!」


カウンターのハジメさんを振り返ったら、目を点にしてた。

こら、あいさつしなさいってば。

ほんとにしょうがない人だな。


カラン、と、ドアベルが鳴った。

ついさっき目が合った、お客さん候補だった人。


「1人なんですけど、いいですか?」

「かまいませんよー。お好きなお席にどうぞ♪」


答えたのは、もちろんあたし。

いや、もちろんってのも変だけど。