ひりあま―ジンジャーティーに、失恋を溶かしたら―



それにしても静かだ。

BGMは、ちょい古めの邦楽ロック。

タイトル、何だったっけ?

もうすぐランチタイムだし、お客さんが入ってもいいころだけど。


「毎日、こんなもんです。口コミが広がってくれなくて」


表通りを窓から見ていたら、ハジメさんが言った。

お客さん少ないなって思ったの、バレたらしい。


「ハジメさんが表で呼び込んだらどうですか?

姿も声もイケメンなんだから、女性のお客さんが殺到しますよ」


ハジメさんが、ぶんぶんと首を左右に振った。


「柄じゃないです」

「んなこと言ってちゃダメでしょー!」


この人、もしかして、けっこうどうしようもないんじゃないだろうか。